顎変形症について
当院での取り組み
当科では、仮想手術計画(VSP)に基づき、骨干渉部を除去する精緻な骨切り技術、ならびに仮想プレートやCAD/CAMスプリントを用いた高精度な位置決め技術を実践しております。さらに、マーカーレス拡張現実(AR)支援手術や、人工知能(AI)による顔面の黄金比を考慮したVSPなど、当科が独自に開発した新しい技術を積極的に臨床へ応用し、より低侵襲で高精度な次世代の顎矯正手術の実現に注力しております。
これにより、機能的な改善にとどまらず、フェイスライン形成など審美面にも配慮した個別最適化治療が可能となり、サージェリーファーストをはじめとする多様化する患者ニーズへの柔軟な対応を実現しております。また、当院矯正歯科との連携体制を一層強化し、術前から術後まで一貫した治療方針のもと、チーム医療を推進することで、患者様に安心して治療を受けていただける環境づくりに努めてまいります。
顎変形症手術件数
顎変形症手術件数 | ||
1jaw *1 | 2jaw *2 | |
2019年度 | 19 | 18 |
2020年度 | 31 | 27 |
2021年度 | 45 | 28 |
2022年度 | 52 | 16 |
2023年度 | 51 | 35 |
2024年度 | 27 | 20 |
*1 下顎枝矢状分割術単独
*2 Le Fort I型骨切術+下顎枝矢状分割術単独
注)2024年度より神奈川歯科大学附属横浜クリニック(矯正歯科)の症例は横浜クリニック口腔外科で対応することになった為、件数は減少している
手術例1.
外科手術前の 歯列矯正終了時 |
外科手術後の 歯列矯正終了時 |
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*プライバシー保護のため写真を一部加工しています。
治療内容 | 上顎骨はLe FortⅠ型骨切り術、下顎骨は下顎枝矢状分割術を行い、以下のような顎骨の移動を行いました。
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治療期間 | 入院期間は 14日間でした。一般的には10~14日間です。 |
入院・手術費用 | 本症例のご本人負担額は約200,000円でした。公的医療保険(3割負担)の場合は、約60,000円~約300,000円(限度額適用認定証所得区分によって異なります)。 また、個室の利用を希望された際は、1日につき6,600円~17,600 円別途必要となります。費用に関する相談はカウンセリング時に承ります。 |
リスク | 永久的なしびれ*はなく、輸血は行いませんでした。また、上顎骨の手術の場合、鼻の形が変わる可能性がありますが、本患者さんからは鼻の変形の訴えはありませんでした。その他のリスクとして、非常に稀ですが、歯が死んでしまったり、骨が壊死を起こしてしまったという報告もあります。 *しびれの範囲:上顎骨の手術の場合は、頬、上唇、鼻、上顎歯肉。下顎骨の手術の場合は下唇、舌、下顎歯肉。 |
また、当院での顎変形症手術症例数は昨年度は47件(下顎枝矢状分割術単独が27件、Le FortⅠ型骨切り術+下顎枝矢状分割術が20件)でした。約半数は、関連施設や横浜市・川崎市といった関東エリア内の矯正歯科専門開業医の先生方からのご紹介患者さんで、ご紹介元の医院でご購入された3Dシステムや従来のペーパーサージェリー/モデルサージェリーで決定された顎位・手術方針についてのご相談もメールで承っております。
ご紹介患者様の診療の流れ
当科といたしましては、患者さんに安全、安心、そして質の高い医療を開業医の先生方とともに提供したいと考えております。その一環として、患者さんには電話一本でお待たせすることなく、スムーズな診療を受けていただける以下のような体制を取っております。ご不明な点がございましたらご遠慮なく電話またはメールにてご相談ください。
- ご紹介元医療施設(顎口腔機能診断料算定指定医療機関)
・検査、診断 - 患者さんが口腔外科に電話予約
・患者さんに持参していただく書類
1)紹介状
2)顎口腔機能診断説明書(ご自由にお使いください。以下の項目は未記入でお願いします。)
①口腔外科医が記載する項目:連携保険医療機関名、担当歯科医師名
②患者さんが記載する項目:説明を受けた日、説明を受けた人 - 口腔外科初診
・手術説明
・顎口腔機能診断説明書の未記入項目に口腔外科医および患者さんがサイン
- 術前矯正治療開始・終了
- 患者さんが口腔外科に電話予約
- 口腔外科再診
・手術日決定